【イコの怪談】




「オレは…中学2年生のとき、女の生首を見たことがあるよ」
「え…?そ、それって…幽霊、ですよね?」

「ああ。放課後、女子更衣室のロッカーに忍び込んでたときなんだけどね。
 いつものようにズボンを降ろし、オレの釣竿を露出させたところで、
 不意にロッカーの外で気配があって…

「痴漢じゃないですか!!!??」
「怖いな〜嫌だな〜っ、なんだろな〜って思って…」
「イコさんが怖いですよ!何やってんですか…」

「若かったんだよ。そりゃあオレだってエロビデオのパッケージでいけたさ。
 だけど結局は代償行為、実際はホンモノの裸の女が目の前に居るほうがいいんだ。
 寿司だってネタは新鮮なほうがいいだろ?だけど直ぐに用意できるもんじゃあない。
 パッケージと生身の裸の女、それぞれを摺りあわせていくと女子更衣室になるってわけだ」
わけだ、じゃないですよ!!とんでもなく最低ですよ!!
 っていうかその気配は普通に着替えに来た人でしょ?」
「違う違う!!扉とか開く音しなかったもん!
 だからさ、もしかしたら忍び込んでる奴が居るかもしれねぇって思ったのね」
「イコさんみたいにですね」
「たまに事件あるじゃん、校内に変態が入ったりすること」
自覚無いんですか…?

「隙間から見たけど、人がいねぇから思い切ってロッカー開けたんだよ。
 入り口の扉は鍵かけてたしね。人が居たらオレ一人で取り押さえてやろう!って」
「正義感溢れる痴漢だったと…」
「そしたら誰もいない。
 でも、確かにすげぇ気配するんだよ。何か嫌な気配。背筋の下からぞわ、ってくるような…」
「…う、うわ……」
「大体の気配の場所ってわかんじゃん?なんとなく。
 突き止めるとどうやら、窓の方からその気配がする。
 2階だけど、女子更衣室だからかカーテン閉まってんのね」

「……」

「今なら慎重に行くかもしれねぇけどオレも若かったし、
 思い切って窓に近づいて、カーテンに手をかけて…」

「……!」

「思いっきり、あけたら、其処には血まみれの女の生首が…」
「っ…」
「オレの竿を見るなりキャー―!!って悲鳴をあげた!!」

「…え?!!」

「まさに断末魔!地獄のそこから響くような声!
 見開かれた目、血の垂れる口、あれは生きた人じゃないって直ぐにわかってそれで」
「ち、ちょっと待ってください!竿… え?!出してたんですか?!!」
「最初に言ったじゃん。出してたよ
「仕舞ってから出なかったんですか?!!」
オレは敵に背中を見せないんだ
「背中を見せないでいるのと露出するのは違いますよ!!
 生きた人間じゃない人が悲鳴上げたんですか?!」
「そうだよ。すっげぇ叫んで、すー―って消えていったんだ。驚いたね」
「それは向こうも驚いたでしょうね…女子かと思ったら下半身露出した変態が出たら」
「変態じゃねぇよ!!結果除霊になったんだからエクソシストじゃん。
 その後悲鳴で人集まってきて逃げるのすっげぇ苦労したんだぜ。
 ほんとまじで、肝が消えるってああいうことだね」
「…僕はイコさんの方がちょっと怖いです…」

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