友情だけは諦められないもので。 「…千歳さん、暑くないですか?」 「いや、なんも」 「………息苦しかったりは、しないですか?こう、衣服を緩めたくなるというか」 「…?普通やけど」 「…あ!汗かいてません?!銭湯行きませんか?!」 「行かんよ。…どないしてん」 「えっ」 「何か…、言いたいこととかあんの?歯切れわるい感じやけど」 「えっと……あの…」 「……。…とりあえず言うてみたら?怒らへんよってに」 「あ…あの!千歳さん!」 「うん」 「下半身見せてください!」 「……」 「下半身を、見せてください!!」 「いや、うん。聞こえてる。聞かんことにしよかと思てたけどグイグイくるな君」 「いかがでしょうか?」 「アカンよ」 「え?!」 「驚く君に吃驚やわ。そんな習慣あらへんやろ日本に」 「あっ!あの、誤解しないでいただきたいんですが、いやらしい意味じゃないんです!」 「え?」 「見たいだけなんです!サイズと色を!」 「…やらしかろうが事務的やろうが事象は変わらへんからな。 君の気持ちの匙加減を言われても何の免罪符にもなれへんよ」 「メモしたら終わりますから!すぐですから!!」 「すぐでもアカンよ」 「何でですか?!」 「オレが聞きたいわ。 大体、何で見せなあかんの?」 「……それは……。 ……この間、千歳さん宅にお伺いしたときに。持田イコと会ったんです」 「ああ…、イコと。ほんで?」 「オレより、千歳さんのこと知っているって、言われて…」 「…?うん…。…」 「悔しくて…!オレ、舎弟として、千歳さんのことを一番に知りたいんです!!」 「…うん。なんか、うん…ようわからん。 なんか、どこも、共感できんねんけど。 そらイコとは一緒には居るよ。けど別にあいつかてオレの裸みたことはあらへんよ」 「ほんとですか?!!見せたことないですか?!! あいつは脱いだところ見たって言ってましたよ!!胸とか!!」 「見せたことはあらへんけど、見たことはあるかもな。なんか」 「あああやっぱりそうかー!!」 「そらオレかて毎日風呂入ってるから!あいつ勝手に見よんねん」 「じゃあダメだ!オレがアイツを越えるには千歳さんの全身を把握してないと」 「待て落ち着…、…瞳孔開いてへんか…!?」 「お願いします見せてください!!!」 「アカンてちょっ君は何やのホンマ…ッ!手!手!! どこ持ってんねん!――ッ四郎君!!!」 「!!!すっ……すいません!!つい…!!」 「……」 「……すいません……」 「……あのな」 「はい…」 「オレは、君がイコに負けてるとは思わへんよ」 「…え」 「……オレが、偉そうに勝ち負けを決める立場とちゃうけど。 でも、あいつは年上やし。学校に居るわけとちゃうし」 「……」 「…オレは去年まで、竹田しか友達おれへんかったけど。 君に会うてからはこうやって、一緒に帰ってくれるから」 「千歳さん…」 「比べられるもんとちゃうやろ?そんなん」 「…すいませんでした」 「も、謝らんでええけども」 「オレが間違ってました!!! 数字上のデータだけで、知った気になろうなんて…浅はかでした!」 「…まぁ、気持ちは、ありがとう」 「これからは気持ちを改めて千歳さんの内面の方から徐々に知っていきます!! 好きな食べ物やスポーツや得意なもの苦手なものや性感帯やよく行くお店… まだまだありますね!!」 「さらっと変なもん入れてなかったか今」 「もっと仲良くしてくださいね!!」 「……… せやな」 ギリオ君は友人が居ないので四郎に話しかけられるのは嬉しいことではあるものの 最近その不穏なアレを気づかざるを得ない感じです。 111016 |